「どこへ行くの?」
「決まってなーい」
ただひたすら車を走らせていただけのようで、5分程走って見つけた公園の駐車場に車を停めた。
「ちえさん、さっき顔色超悪かったけど大丈夫だった?」
そう言えば、外に出てから頭痛も目眩も気持ち悪さも全部吹っ飛んでしまった。
「大丈夫。ありがとう」
「よかった」
車内もだんだん暖かくなってきた。
「ちえさんさぁ、なんでクラブなんて行ってんの?」
「え?」
「旦那は?」
指輪をしていないのに、結婚していることがバレている。
…考えてみれば、最初に「高橋ちえ」と言われたな。
結婚したのを知っているぐらいの人なのに、私はこの人を知らない。
1回会ったことすら覚えていない。
「今日はエイコちゃんの付き添いで来ただけだから」
「そうだったんだ。いや〜びっくりしたよ!まさかちえさんがクラブに来るなんてさ!」
「普段は全然行かないんだけどね」
思い出せない…。
私はショータといつ会ったの?
「ってかちえさん、なんか印象変わった?こんなに派手だったっけ?」
ショータは私の何を知っているの?
