「ちえさん!」 遠くの方をぼーっと眺めていたら、すぐそばで名前を呼ばれた。 「どうしたの?」 右を見ると、そこにはショータがいた。 「ぁ、ちょっと頭が痛くなっちゃって」 「大丈夫?」 「うん、平気」 「顔色悪いよ?」 そう言ってショータは私の右手首を掴み、引っ張って歩き出した。 密着している人々を掻き分けて、どんどん進んでいく…。 急に動き出したら、少しクラクラしてきた。