私たちは手を繋いだまま、居酒屋に入った。

通されたのは、掘りごたつのある狭い個室だった。



とりあえず飲み物を注文して、何食べようかメニューを開いた。


「ちえちゃん」

「何?」

目線をメニューから男へと移した。


「可愛いね♪」

「はっ!?///」


恥ずかしくなって再びメニューを見た。




「顔赤いよ?」

男は笑って言った。


「あんたが変なこと言うからでしょ!」

そう返すと、

「俺さ‘‘あんた’’じゃないんだよね〜名前があるんだよ」

「あっそう。」

「‘‘あっそう。’’ってちえちゃんひどくな〜い?もうちょっと俺に興味持ってよ〜!」

「なんて名前なの?」

「ケン」

「わかった。」

「え〜なんか素っ気ない〜」

「普通だよ」

「今時の子はこんなに素っ気ないのが普通なんだね…寂しい日本!」

「何言ってんの」


ケンがおかしくて笑った。
そうしたらケンも笑った。


楽しい時間だった。