私が男の3歩後ろを離れて歩いていると、後ろから2人組の男に声をかけられた。


「ねえねえ、俺らと一杯どう?」




その時、


『ちえー!何してんだ!置いてくぞ〜』


あの男がちょっと先で私を呼んだ。


私は小走りで男の元へ駆け寄った。


さっきまで3歩前を歩いていたのに、2人組に話しかけられているうちにだいぶ離れてしまっていた。





男の隣を歩くと、

「ちえちゃん、1人で歩いたら危険だからね」

と言って私の右手をとり指を絡めてきた。


「離れちゃダメだよ?」


そういう男の顔と声と優しさに、胸がドキッと鳴った。