「入って」


「ここがちえの部屋か〜」


「あんまり見ないでよ」




部屋に入り、ケンはベッドに腰掛けた。




「今お茶淹れてくるから待っててね」


「おう。ありがとう」




私は部屋を出て、キッチンで紅茶を淹れ始めた。




「あんた、本気で結婚するの?」


母は未だ、ケンとの結婚にはいい顔をしない。



「するよ。ケンいい人じゃん。なんでお母さんはそこまで否定的なわけ?ケンのどこがいけないの?」


「彼のどこがいけないとか、そういうのはよくわからない。よくわからないから心配なんじゃない。まだ付き合いも浅いし、若いんだし…もうちょっとお互いをよく知ってからの方がいいでしょ?」



この人には何を言っても無駄だと思った。




何も返さず、紅茶を持って部屋に行った。