お店を出て、車に戻った。




「ちえ、手出して」



そう言われて、右手を出した。



「右でいいの?」


「え?」



最初何のことだかわからなかったけど、すぐに気付いて左手を出した。





左手の薬指に輝くダイヤの指輪。





「これ、婚約指輪ね!」

ケンがニコニコしながら言った。



「こ、こ、婚約指輪!?」


「そう。いらなかった?」


「ほしいです!」


「ならよかった♪」







婚約指輪って、こんなあっさりもらっちゃっていいものなの…?




「さあ、帰ろうか」


そう言って、ケンは車を走らせた。