30分くらい経っただろうか。

やっと涙も止まって落ち着いた私に、ケンがコーヒーを淹れてくれた。


「ちえ、どうした?」

ケンが優しく聞いてきた。

私は黙っていた。



ケンが好きだなんて、言えない。
ケンは私なんかヤリ目だったのに、ケンが好きだなんて言ったら確実に引かれる。



「ちえ、ごめんな…。嫌だったよな?初対面の男に抱かれて、朝まで一緒に過ごすなんて。ごめんな」

違う。
私は俯きながら、首を横に振った。


「じゃあなんで泣いていた?ごめん、俺わかんないや。ちえの気持ち、教えてくれないかな?」

ケンは私の顔を覗き込み、優しく言った。