「それと、気になってた。
どうしてピアスを触るとそんなに辛そうな表情をするんだよ?」

「……」

「それは懺悔の証だって言ってたけど、琥珀君との想い出の品でもあるんだろ?
だから無意識に触ってたんじゃないのか?
なのに、それに触れる小早川の顔が苦しそうだなんて何かあったって思うだろ」

「……何も、ないです」



小早川の声は微かに震えていた。
肩が強張って、手に力が入ってるんだなってのは容易に想像がつく。



「転校するから、あんな事言ったんだろ?」

「……」

「ここに来てくれるか。って」

「……」

「桜の木の下に」



口を真一文字に結んだままの小早川に、ふっと笑みを零す。