真実アイロニー【完結】


「琥珀君以外、本当に小早川に必要ないんだな」



微かに笑みが漏れた。


どうしてか。
俺は彼に嫉妬しているみたいだ。


彼女は琥珀君が全てで、彼だけを求めている。


そんな唯一無二の存在と対抗するなんて出来ない。
彼はもうこの世にはいない。

だからこそ、小早川の中で大きくなったんだ。


嫉妬するだなんて、どうかしてる。



だって、俺は小早川とどうにかなりたいわけじゃない。
わかってた筈なのに。



「琥珀ね。飛び降りる間際に言ってくれたんだ。
これで一生、一緒だねって」



その約束はなんて残酷なのだろう。


生きてしまった彼女は。


それにしがみついて、縛られて、離れられなくなってるのに。


きっと、彼はそんなつもりで言ったわけじゃないのに。
もっと。
温かな、そう桜が咲く季節の様に。
優しくて、少し切ない。そんな気持ちで言った筈なのに。