真実アイロニー【完結】


「いいえ。それはいいけど。
どうして切る前に連絡して来ないんだよ」

「……」

「切るのはやめろって言ったのに」

「……部屋の掃除をしてたんです」

「掃除?」


反芻した言葉に、小早川は小さく頷く。


「そしたら琥珀とのプリクラが出て来て…、色々な事がフラッシュバックして。
気付いたら切ってました」

「……」

「家にいたらまた切りそうだったから、携帯だけ持って公園に…」

「それで俺に電話したの?」

「切るなって言ってくれたの、先生が初めてだったから」

「そうだったのか」

「なのに…、切っちゃった」


悔しそうに、きゅっと唇を噛んだ小早川は視線を伏せた。
その視線の先にあるのは、切ってしまった手首。



「……まだ死にたいって思うか?」