「・・・ですか?」
誰かの声が聞こえた気がした。
「あのぅ。・・・ですか?」
!?女の声だ。
俺はとっさに体を起こした。今度ははっきりと聞き取れた。
「あのぅ、貴方の下に林檎があるのですが?」
・・・。俺の足の下を覗きこんでみると赤く熟した林檎があった。
「それ、とってもらえないでしょうか?」
一体何処から話し掛けてきているのか、お前は誰なのか。
そんなことを考えていると百葉箱の陰からヒョッコリと少女が顔を出した。
見覚えのない顔だな。
とりあえず、言われた林檎を寄越してやった。