「…で。」
わたしはすうっと息を吸う。
「なんであんのクソ男来ないのおおおおおおおおおっっ?!(シャウト)」
目の前にはニコニコと微笑んでいる霧谷くん。
すごい幸せそうで腹立つやら立たないやら。

「間宮君なら、俺は空気読めちゃう系男子だから用事ができた☆といって颯爽と出かけて行きました。多忙な人なんですねっ」
「あいついつか殴り飛ばす!!!」

ぅー、と唸ってちろり、と霧谷くんを見る。
ふわふわとした栗色のゆるパーマ、色素の薄い目、スラリとした手足。
…こんなにかっこいい人、歌の学年に眠ってたんだよね…。

「…ねえ霧谷くん。わたしのこと好きなら、早く諦めたほうがいいよ?」
「えっ?」
なぜ?と戸惑う霧谷くん。

まぁ、そりゃそうか…。

「わたし、この男嫌い治そうとか思ってないし、そもそも付き合いたいとも思わないし。霧谷くんを期待させるだけで、何もできないし、する気もないもん。」
きっぱりいっておく。
後腐れのないように、きっぱりと。

霧谷くんは_______

ふわり、と微笑んだ。

「……。は?」
「はい?あ、すみません、つい可愛くて」
「っっ?!」

何言ってるんだ?!この男!