天狗娘は幕末剣士



「なるほどな」




ずっと黙っていた斎藤さんがポツリと呟いた。




「芹沢さんにそんな一面があったとはな、知らなかった」




「私も、です……」




「だけど、残念だけど、現状は変わらないよ、杏子ちゃん」




「っ……」




やっぱり……




「芹沢さんがどんな人だろうが、関係ない。

 会津藩のお沙汰は絶対だからね」




「うん……」




そう言って、総司は広間から出て行った。




未だ、その場から動けない私の横に、斎藤さんが立った。




「杏子、俺達は武士だ。

 己の信じる道に敵がいれば、容赦なく斬り捨てる」




「はい……」




「芹沢さんを斬れば、お前の言う子供達やお梅さんは悲しむだろう。

 だが、俺達はその悲しみを背負って生きていかなくてはならない。

 ……それが、俺達の選んだ道だからな」