芹沢さんと別れた後、やっと前川邸に着いた私は、玄関で斎藤さんに迎えられた。
「斎藤さん……」
「遅かったじゃないか、もうすぐ夕餉だぞ」
「すみません……」
すると、斎藤さんは心配そうに私の顔を覗き込んできた。
「どうした、顔色が悪いぞ、具合でも悪いのか?」
「いえ……そういうわけでは……」
「ならば、外で何かあったのか?」
私は、目を伏せながら呟いた。
「……芹沢さんは、新選組を抜けるつもりです」
「なに?」
「明後日になれば、彼は脱隊すると言っていました。
それから、明日、自分の部屋に土方さんとお梅さんを絶対に入れるなと、言っていました……」
「……そうか」
少しの沈黙の後、斉藤さんはゆっくりと口を開いた。
「土方さんに、報告しに行くぞ」
「はい……」