天狗娘は幕末剣士



長屋を出ると、空は茜色に染まっていた。




相変わらずズンズンと歩いていく芹沢さん。




その横を私は黙って歩く。




あの芹沢さんが、あんなに人に愛されてるなんて……




驚いたな。




芹沢さんって、案外悪い人じゃないのかも……




まあ、困ったところもあるけど……




「うい奴らじゃったろ」




「へ?あ、はい、皆良い子達でしたね」




急に何を言い出したかと思ったら、さっきの子供達のことね。




「時々、ああやって誘われることがあっての、あやつらの相手をしてやるんじゃが……

 そのたびに、お梅と所帯を持ったら、こんな感じなのかと思ってしまうのじゃ」




「え……」




思わず芹沢さんの横顔を見上げた。




芹沢さんは、何かを愛おしむような目で、どこか遠くを見つめていた。




「ワシはもう、お梅が笑ってくれれば、それで良い。

 あわよくば、新選組を抜けて、あやつと2人で静かに暮らしたいものじゃ」




「芹沢さん……」




「じゃが、それも無理な話じゃろう」




「え?」