天狗娘は幕末剣士



「入隊に反対したのは、お前の身を案じてのことだろう。

 ここにいれば、今まで以上に辛いことや悲しいことがある。

 それに、お前の命だって危なくなる。

 ……もう目の前で、女が傷つくのは嫌なんだろう、斎藤は」




返す言葉が見つからなかった。




もし、土方さんの言っていることが本当なら、その気持ちは嬉しい。




だけど……




「私は、斎藤さんの力になりたいだけなんです。

 それも、許されないことなんでしょうか……」




「さあ、どうだろうな」




そう言って、土方さんは腕を組んだ。




暫くの間、部屋に静寂が流れた。




ふいに、土方さんが組んでいた腕を解き、机に向かい何かを書き始めた。




「杏子、今から買ってきてもらいてえもんがあるんだが、頼めるか?」




「はい、構いませんけど……?」




すると、土方さんはピッと1枚の紙を私に差し出した。




「だが、もうすぐ日が落ちるからな。

 お前1人じゃ危ねえから、斎藤でも連れて行け」




「え……」




「2人で行って、話しでもして来い。

 門限までには帰れよ」




「あ、はい!」




ようやく土方さんの真意を汲み取った私は、急いで斎藤さんの元に向かった。