天狗娘は幕末剣士



その日以来、私は斎藤さんに距離を置かれるようになってしまった。



道場に行っても、斎藤さんの姿は無く、自分で稽古をする日々が続いていた。




「……んず、おい、杏子!」




土方さんに名前を呼ばれ、ハッとする。




「は、はい!」




「聞いてんのか?さっさと報告しろ」




「あ、はい!えっと……」




そうだ、今は土方さんの部屋で芹沢さんについての報告をしている最中だった……




最近、何をしていても頭に斎藤さんの顔がよぎって、なかなか集中できない。




今だって……




すると、報告をしている私の声を遮って、土方さんが深いため息をついた。




「なあ、杏子、お前最近変じゃねえか?」




「え?」




「何かあったのか?」




ギクッ。




図星をつかれて、少し動揺したけど、悟られないように私は必死に冷静を装った。




「な、何もありませんよ」




「嘘をつけ、この俺にそんな嘘が通用すると思ってんのか」




「……思ってないです」