天狗娘は幕末剣士



ようやく八木邸の門まで辿り着き、私は近くの木の影に身を潜めた。




さっきの口論は、まだ続いているみたい。




綺麗な着物を着た女の人2人が、1人の隊士さんに詰め寄っている。




あの隊士さんは……確か、新見錦(にいみ にしき)さん、だっけ。




狐みたいな顔が印象に残ってる。




「とにかく、芹沢はんに会わせておくれやす!」




「でないと、ウチらお店に帰れへんのです!」




いきどおる彼女達を、新見さんは静かに制した。




「だから、先程から言っているように、芹沢局長は今外出しているんです」




「え?」




思わず声がでてしまい、慌てて口を塞ぐ。




芹沢さんなら、屯所の廊下ですれ違ったけど……




新見さんは、芹沢さんが屯所にいるの知らないのかな。




「芹沢局長に会いたいなら、また日を改めて来てください」




そう言うと、女の人達はしぶしぶ帰って行った。




私は思わず新見さんに駆け寄った。