芹沢さんは、冷ややかな目で私を見下ろす。
どうしよう……とにかく、早くここから立ち去ろう……
「おい、お主」
「は、はい!」
芹沢さんに呼び止められ、体がビクッと跳ねる。
「お主、名は何と言う」
「へ?」
「名前は何だと聞いているんだ」
芹沢さんは苛々した様子で、鉄扇で肩を叩いた。
「と、遠野杏子と申します」
「杏子、か……」
私の名前を呟くと、ジッと私を見下ろしてきた。
居心地が悪くなって、私は口を開く。
「あの……何か……?」
すると、彼はフンッと鼻で私を笑い、横を通り過ぎて行った。
な、何だったんだろう……
芹沢さんの行動を不思議に思いながらも、私は最初の目的であった場所まで急いだ。


