姉は、昔俺を庇って死んでいった。
俺の目の前で刀を取り、戦い敗れ、俺を庇って死んだ。
彼女の目が、その姉に似ていた。
そこで、俺はハッとした。
俺は、自分でも気付かないうちに、この娘と亡き姉の姿を重ねてしまっていたのだ。
彼女が新選組の入隊を希望した時に妙に胸が苦しかったのは……
この娘も、俺の前で死んでしまうのではないかと、心のどこかで思っていたからだろう。
だから、俺は彼女に他の道を生きる様に薦めたんだろう。
だが、彼女が新選組に入隊してしまったいじょう、仕方が無い。
『明日からは、俺がお前に稽古をつけてやる』
せめて彼女が傷つかないように、俺の目の前で死なないように、俺がこの手で彼女を生かせてみせる。
「……もう二度と、あんな思いをするのはごめんだからな」