ある夜、俺は1人の娘を助けた。




そいつは、身を守るために男装をしていて、土方さん達の知り合いで、




天狗だった。




別に、彼女がもののけだということには驚かなかった。




それよりも驚いたのは、彼女が新選組に入りたいと言い出したことだった。




大変な隊務でもやる、と言った彼女を見て、俺はなぜか胸が苦しくなった。




その後、俺は彼女の部屋に行き、こう言った。




『お前には、他に生きる道がある』




自分でも、何故わざわざこんなことを言ったのか分からない。




だけど、これは紛れも無い、俺の本心だった。




女子が、刀を握る必要なんてない。




そう、思っていた。




しかし、彼女は刀を取ることを選んだ。




『新選組で、皆さんと共に戦いたいんです』




俺を見て、真っ直ぐにそう言った。




その目を見て、俺はあることに気付いた。




似ていたのだ。




俺の姉に、よく似ていた。