「杏子が、一くんと手合わせ?」
平助くんが復唱してくれたおかげで、ようやく総司の言葉を理解する。
私が、斉藤さんと手合わせするの?!
「っむ、無理無理無理無理無理!!」
総司の方に振り返り、すごい勢いで首を振る。
だけど、当の本人は微笑みながら口を開いた。
「斉藤くんの剣術を見たいんでしょ?」
「そうだけど……」
「だったら、いいじゃない。
手合わせの相手なんて、すごい特等席でしょ」
そりゃそうだけど……
でも、何も手合わせしたいとは言ってないじゃない!!
「……いいだろう、相手になろう」
「え……」
そう言うと、斉藤さんはすぐに準備に取り掛かった。
私も、一抹の不安を感じながら、総司に渡された小太刀用の竹刀を受け取った。
「審判は僕がやるね」
「ああ、頼む」
「じゃ、頑張ってね、杏子ちゃん」


