「お前を連れて来いと言われているんだ。
大人しく来てもらうぞ」
「しつこいですね……あなた達とは行きません」
「……ならば、仕方ない」
そう言うと、もののけ達は一斉に刀を抜いた。
その光景を見て、私は唇を噛み締めた。
脳裏に、故郷での出来事が思い浮かぶ。
次々と人が目の前で殺されていく、恐ろしい出来事が……
私は、震える手をギュッと握り締めた。
そして、ゆっくりと目を閉じる。
気持ちを集中させ、神経を研ぎ澄ませる。
「やああああ!」
1人のもののけが雄叫びを上げ、私に斬りかかろうとしてきた。
だけど、次の瞬間……
――ブワッ
私の周りに強い突風が吹き、私を取り囲んでいた男達が吹っ飛んだ。
もちろん、私に斬りかかってきた男も。
私は、ゆっくり目を開けた。