天狗娘は幕末剣士



「難しいことじゃねえ。

 ただ、ある人物の動向を探ってもらいてえだけだ」




おお、なんか監察方っぽい仕事!




興奮して、胸が高鳴る。




「分かりました。

 対象は誰ですか?」




ワクワクしながら、次の言葉を待つ。




すると突然、不機嫌そうな顔をした土方さん。




その口から発せられた名前は、私の知らない人物のものだった。




「芹沢鴨だ」




「芹沢?」




誰だろう、聞いたことないな。




「……どんな些細なことでもいい。

 何か気になることがあったら、すぐに報告しろ」




そう言った土方さんの顔は、いつになく真剣だった。




それに答えるようにして、私も背筋を伸ばして頷いた。




「土方さん、本当にやらせるんですか?

 コイツには、まだ早いと思うんですが……」




「対象の行動・発言に、いつもより少しだけ気をつけるだけだ。

 そのくらい、出来るだろ」




斎藤さんは、それ以上何も言わなかった。