天狗娘は幕末剣士



「どうしたんですか?2人とも」




「いや……

 一くんがそれだけの理由で怒るなんて珍しいな、と……

 ていうか、そもそも、あんまり怒らない人だから、びっくりして……」




「杏子くん、他にも何かやってしまったんじゃないのか?」




「そ、そんなことありません!」




でも、そうか……斎藤さん、そんなに怒らない人なんだ……




だけど、あの顔は確かに怒りを含んでいたし……




私、自分でも気付いてない内に、他に何か斉藤さんの気に障るようなこと、やっちゃったのかな……




「一くん、そんなに怒りの沸点低くないと思うんだけどな。

 元々、あんまり感情を表に出さないし……

 もしかして杏子、嫌われてるんじゃないのー?」




「え……」




「なーんちゃって。

 そんなわけないか!」




あははっと笑う藤堂さん。




そんな彼につられて、わたしも苦笑い。




「も、もうっ。

 冗談は止めてくださいよ、藤堂さん」




「あ、それ。

 藤堂さんって止めね?名前でいいよ」




「え、でも……」




「年も近いし、皆、平助って呼んでるし。

 俺もお前のこと名前で呼んでるしさ」




「じゃあ……平助くん?」




「うん、そうそう!」




たどたどしく名前を呼ぶと、彼は笑顔で答えてくれた。