天狗娘は幕末剣士



手際良いなあ……




そういえば、山崎さんの実家は医家なんだっけ。





「よし、これで良いだろう。

 他に、どこかおかしい所は無いか?

 まあ、あれだけ元気に走れれば大丈夫だと思うが」




クスッと山崎さんが笑う。




よく考えれば、いくら急いでいたからとはいえ、あんなに思い切り走るなんて……




はしたなかったよね、絶対。




羞恥で顔が赤くなる。




「杏子、その傷も巡察中に走って転んで作ったの?」




藤堂さんがニヤニヤしながら、からかってきた。




「違いますよ!」




「あはは、ごめんごめん。

 でもホントに大したことなくて良かったな。

 廊下を走る音が聞こえたから、何か大変なことがあったのかと思ったよ」




「あー……それは……」




門の所でのやり取りを思い出して、少し気持ちが暗くなる。




急にしゅんっとなった私を見て、山崎さんと藤堂さんが顔を見合わせた。




「何かあったの?杏子」




「……怪我の手当てをしないで、総司と話をしていたら、斎藤さんに怒られて……

 それで、急いでここに来たんです」




すると、2人は同時に




「「え?」」




と声を上げた。