天狗娘は幕末剣士



全力で廊下を駆け抜け、医療担当の山崎さんの部屋の前で足を止めた。




「や、山崎さん、いらっしゃいますか?」




「おお、杏子くんか。

 入りなさい」




私は、一呼吸置いてから障子を開けた。




「失礼します」




部屋の中には、山崎さんと藤堂さんがいた。




「あれ、藤堂さん」




「おー、杏子。

 巡察お疲れさん!」




藤堂さんがヒラヒラと手を振る。




「それで、何か用かい?

 随分急いで来た様だったが……」




「ああ、そうだ。

 巡察中に怪我をしてしまって……」




私は、チラッと破れた右袖を見た。




「大したことは無いと思うんですけど……」




「どれ、ちょっと見せてくれ」




スルスルと袖を捲る山崎さん。




少し傷口を見ると、山崎さんは近くにあった救急箱を手繰り寄せた。




「血も殆ど止まってるし、傷も浅いから、すぐ治るだろう」




そう言うと、彼はササッと手当てをしてくれた。