すると、斎藤さんはため息をついて、私の右腕を持ち上げた。
「あっ……」
「傷の手当もしないで……
早く山崎くんの所へ行け。
手当てが遅くなれば、悪化するだけだぞ」
「でも、これくらい……かすり傷ですし」
心配しないでください、という意味で私は微笑んだ。
彼を安心させる為に笑ったのに、斎藤さんの眉間にみるみるうちにしわが寄る。
あ、これヤバイ……
もしかして、斎藤さん、怒った……?
サーッと血の気が引いていくのが分かる。
「いいから……行ってこい」
「っは、はいい!!」
勢い良く頷くと、斎藤さんはパッと手を離した。
私は、急いで山崎さんの所へ向かった。
「……斎藤くんさあ、杏子ちゃんのこと嫌いなの?」
「……」


