「斎藤さん?どうしたんですか?」
ひょこっと斉藤さんの後ろから顔を出してみると、目の前にいたのは……
「っふ、不逞浪士……!」
主君を持たない武士、それが不逞浪士。
そんな彼らが、ズラッと私達の前に立ちはだかる。
「いいか、遠野」
「え?」
「俺の前には、決して出るな。
いいな?」
「は、はい!!」
彼らは私達に向かって刀を抜いていた。
「壬生浪が……」
「仲間の仇……ここで取らせてもらう!!」
1人の男がそう言うと、それを合図に不逞浪士達が斬りかかってきた。
あっという間にその場は斬り合いの場となった。
皆が、それぞれの敵と刃を交える。
「おらあ!」
「きゃあ!」
私も、斬りかかってきた男の刀を間一髪でかわす。
小太刀を抜かなきゃ!
スラッと小太刀を抜き、敵に構える。
「うらあ!」
キンッキンッと刃のぶつかり合う音が響く。
「っく……!」
「どうした、防戦一方になってるぜ!」
「そんな……こと……!」