「なあ、その翼ちょっと触ってみてもいいか?」
「へ?あ、どうぞ……」
私が頷くと、藤堂さんはズイッと身を乗り出して、私の翼に触れた。
「意外と暖かいんだな。
羽も鳥っぽいし」
「あ、俺も触らせてくれー」
そう言って永倉さんも、翼に手を伸ばした。
それからも、次々と幹部の皆さんが私の翼に触れてくる。
気付けば、近藤さんも山南さんも、山崎さんまで私の翼に手を伸ばしていた。
土方さんと斉藤さんだけは、じっと座ってその光景を見ていた。
「あ、あのっ!」
状況についていけず、私は思わず声を上げる。
すると、ピタッと皆さんの手が止まった。
全員が、私の顔を見る。
「皆さん、私のこと怖くないんですか?私、もののけですよ?」
バサッと軽く翼を動かすと、抜け落ちた羽がいくつか宙を舞う。
「うーん……別に怖くはないかな」
「え……」
「怖くはないけど、驚いたな。
まさかこの世に本当に天狗がいるなんて思わなかったから」