天狗娘は幕末剣士



すると、山南さんはすぐに優しい笑みを浮かべて、私に笑いかけてくれた。




「こんな所で、君に会えるとは思いませんでしたよ」




「山南さん、ソイツ誰だよ。

 知り合い?」




私の方を見て、山南さんにそう聞いたのは、若い男の人。




私と同じか、少し年上くらいかなあ。




明るい茶色の髪を短く切っている。




「藤堂くん、この人は……」




「コイツは昔、試衛館で俺達の手伝いをしてくれてたやつだ。

 まあ、14の時に実家がある里に帰っちまったから、知らねえやつもいるだろ」




茶髪の人……藤堂と呼ばれた人の問いには、山南さんではなく土方さんが答えた。




「そして、コイツは今日付けで新選組に入隊することになった。

 ……ホラ、挨拶しろ」




「あ、はい」




緊張で少し硬くなった背筋を伸ばし、私は声を張った。




「遠野杏子といいます。

 よろしくお願いします!」




「ふーん、コイツがねえ……」




藤堂さんは私をじいーっと見ると、鼻で笑った。




「細えし、ちっせえな。

 大丈夫なのかよ」