天狗娘は幕末剣士



だけど、目の前で繰り広げられているものは、それ程のものだった。




居合の達人と言われている斎藤さんの刀を、白竜さんは上手くかわし、その隙をついて、踏み込んで来る。





そのまま白竜さんは刀を振るって、斎藤さんへ斬りかかって行く。




だけど、斎藤さんもそれを上手くいなし、また斬りこんで行く。




どちらも、すごい速さで、ついていくことが出来ない。




地を蹴り、時には木をも蹴り、空を割くような剣さばきを、私はただただ見つめていた。




「はああっ!」




すると、ついに斎藤さんの刀が白竜さんの顔をかすめ、彼の頬に傷をつけた。




「くっ……」




1、2歩白竜さんが後ずさると、彼の頬から血が流れた。




「人間がっ……俺の顔に傷をっ……!!」




白竜さんの眉間に深く皺が刻まれる。




次の瞬間、斎藤さんの周りに、強い風が吹き荒れた。




「っ!」




強風で身動きが取れない斎藤さん。




そこに、白竜さんがゆっくりと近づく。