私は、いまだ立ったままの斎藤さんを見上げる。
斎藤さんの目は、なんだか哀しそうな目をしていた。
「斎藤さん、私はここで近藤さん達の力になりたいと思いました。
だから、入隊します。
新選組で皆さんと共に戦いたいんです」
「……そうか」
私がきっぱり言うと、斎藤さんは目を伏せてしまった。
すると、そこに総司が私を呼びに来た。
総司に連れられて、私と斎藤さんは幹部の皆さんが集まっている部屋に向かった。
障子を開けると、そこには局長、副長を含めて総勢8人の男の人がいた。
「杏子、そこに座れ」
「はい」
土方さんに言われるがままに、私は腰を下ろした。
全員の顔を見てみると、1人顔見知りの人物がいた。
「山南、さん……?」
名前を呼ばれた人物は、私を見て目をぱちくりさせた。
少しの沈黙の後、彼は恐る恐る口を開いた。
「杏子くん、ですか……?」
彼の言葉に、私は大きく頷いた。
彼は山南敬助さん。
眼鏡をかけて、きちんと髷を結った、とても物知りな人。
試衛館でお世話になった人の内の1人だ。