天狗娘は幕末剣士



「斎藤さん、彼の狙いは私です。

 ここは私が戦いますから、斎藤さんは逃げてください!」




「立てない体で何を言っている。

 悪いが、それは出来ない」




「でも……」




じわじわと彼の着物に広がる赤い染み。




このままだと、斎藤さんの体が危ないのに……!




「杏子、俺は大丈夫だ。

 だから、そのまま俺の後ろにいろ。」




そう言うと、斎藤さんは白竜さんに刀を向けた。




「こんなもののけに、お前を殺されてたまるか。」




「え……」




「杏子」




斎藤さんは少しだけ振り返り、肩越しに私を見た。




「お前は、何があっても絶対に俺が守る。

 絶対にだ」




「!!」




この優しくて頼もしい言葉、私は前にも聞いたことがある。




この人は、また言ってくれた。




そして、また私を助けて、守ってくれた。




気がつけば、私の目からは大粒の涙が流れていた。