「それは……」
私が口ごもっていると、代わりに白竜さんが答えた。
「なる程、お前が1人で来たのはそういう事か。
……お前、この男の傷を思いやって1人で来たのだろう?」
「……そうなのか、杏子」
「だ、だって!そんな傷で動いたら、斎藤さん、死んでしまいます……!」
それに……と、私は俯きながら続けた。
「私は、もうこれ以上、あなたを傷つけたくない……!」
そう言うと、斎藤さんはハハッと自分を嘲笑うかのように、薄く笑った。
「なる程……お前がそんなに傷ついてしまうくらい、心配を掛けてんしまったんだな……
俺は、本当にどうしようもない奴だ」
すると、白竜さんは斎藤さんに向けて刀を構え直した。
「人間、その傷では勝敗は見えている、
大人しくそこを退け。
天狗を殺した後、お前も確実に殺してやる」


