天狗娘は幕末剣士



私は屯所を出て、吉田山を目指した。




いつの間にか、歩きなれた京の町。




色々な事を思い出しながら歩いた。




……あ、ここ、巡察でよく通ってたな……




そんなことを考えながら歩いていると、初めて斎藤さんと出会った所に辿り着いた。




「懐かしい……」




ちょっと前の事なのに、随分と昔のように感じる。





あの夜の事は、今でも忘れない。




闇の中、私を助けてくれた斎藤さん。




『おい、お前

 大丈夫か』




浅葱色の羽織りを着て、私の前にあらわれた斎藤さん。




きっと、それが全ての始まりだったんだ。




こんな事になるなんて、思いもしなかったけど。




「もう、これ以上……斎藤さんを傷つけたくない」




だから、やっぱりこの戦いは、私1人で戦わなきゃ。




そう思い、私はグッと拳を握りしめた。