「ホラ、後は土方さんだけですよ?」
総司がニヤニヤしながら言うと、全員の視線が土方さんに集まった。
「……屯所の中に女がいるってバレたらどうするんだ。
平隊士どもが黙っちゃいねえぞ。
コイツを襲いに来るかもしれねえ」
襲いに来る……
その言葉に、一瞬サアッと血の気が引いた。
「監察方に所属させるっていうのはどうですか?
平隊士とはそんなに接触しないし、そうそうバレないでしょ」
総司がサラッと答えると、土方さんはため息をついた。
「隊士の仕事は大変だぞ。
それでも、やるか?」
ジッと土方さんは私を見据える。
私が、新選組の隊士に……?
想像できないけど……でも、私にも何かお手伝いができるなら……
「やります。
だから、私をここに置いてください!」
「よく言ってくれた、杏子くん!」
近藤さんは嬉しそうに私の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「杏子くん、今日から新選組が君の帰る場所だ」
「え……」
思わず私は、全員の顔を見渡す。
「任務からは無事に帰って来ること。いいな?」
近藤さんは、私の目を見てそう言った。
「はい!」
私の、帰る場所……
その言葉が嬉しくて、私は大きな声で返事をした。