「ん……」
部屋に差し込む朝日で、私は目を覚ました。
ゆっくり体を起して横を見てみると、そこには手負いの斎藤さんが横になっていた。
その姿を見て、胸が痛くなる。
あれから2日。
池田屋から帰ってすぐに、斎藤さんは気を失ってしまった。
そして、それからまだ一度も目を覚ましていない。
山崎さんの話だと、命に別状は無いらしいけど……
「やっぱり、心配だよ……」
斎藤さんの顔を覗き込むと、彼は静かに眠っていた。
「斎藤さん……」
私がそっと呟くと、障子の外から声をかけられた。
「杏子、起きてるか?」
「平助くん?」
どうぞ、と言うと、頭に包帯を巻いた平助くんが部屋に入って来た。
彼は彼で、池田屋で額を切って怪我をしてしまっていた。