天狗娘は幕末剣士



そう言って、斎藤さんは次々と敵を斬っていった。




私の髪を掴んでいた浪士も、手を離し斎藤さんに刀を向けた。




その拍子に、私は膝から力が抜け、その場に座り込んでしまった。




「杏子!」




刀を向けた浪士も倒すと、斎藤さんは私の所に駆けて来てくれた。




「斎藤さん……」




「杏子、大丈夫か。怪我は……」




そこまで言うと、斎藤さんはハッとした顔になった。




その表情を見て、私は苦笑した。




「えへへ……顔、少しやられちゃいました」




すると、斎藤さんは優しく私を抱き寄せた。




「まったくお前は……無茶ばかりして」




「すみません」




温かい腕の中、私がそう言った瞬間。




「っ!」




彼の肩越しに、刀を振り上げている浪士が見えた。