天狗娘は幕末剣士



まるで、子供をあやすかのように……




「近藤さん……」




そう言ってくれるだけで、私の胸は一杯になり、目の奥がジンッと熱くなった。




近藤さんは私から体を離すと、今度は私の肩に手を置いた。




「行く当てが無いのなら、ここにいればいい。
 
 昔のようにな」




「え、ですが……」




「おい、近藤さん!

 何言い出すんだ、アンタ!」




にっこりと微笑む近藤さんの後ろで、土方さんが目を見開く。




「良いじゃないかトシ。

 杏子くんは信頼できる娘だ。

 新選組の一員として迎えないか?」




「近藤さん、人が良すぎるぜ……

 悪いが、俺は反対だ。

 杏子を新選組に入れても、正直、俺達に利益はない」




「僕はそう思いませんけどね。

 屯所内も華やかになるだろうし、杏子ちゃんがいてくれれば楽しくなるだろうし」




総司は私を見てニコッと笑った。




「というか土方さん、杏子ちゃんの話を聞いて可哀想だなとか思わないんですか?

 頼る所も人もなくて途方に暮れて、最後の砦として僕達の所まで来てくれたんですよ?

 そんな女の子を利益として見るなんて……流石、血も涙もない鬼副長」




「総司、お前なあ……」




土方さんの顔に青筋が入る。




「斎藤くんもいいだろう?」




「近藤さんと土方さんが良ければ、俺は構いませんが……」