部屋を出る時に、「隊服を用意しておけ」と土方さんに言われた私は、すぐに用意をしていた。
やっと、やっとこれを着る機会がきた!
と、しみじみ思っていると、障子が開き、斎藤さんが入ってきた。
「あ、斎藤さん」
「……何をしている」
「今夜、私も出勤する事になったので、隊服を……」
すると、斎藤さんは大きく目を見開いた。
「……まさか、お前も今夜の戦闘に参加するのか?」
「はい。
こんななりなので、どれくらいお力になれるか分かりませんが……」
そう言うと、斎藤さんは私の肩を掴んだ。
「駄目だ、俺は反対だぞ。
ただでさえ、怪我をしているのに」
「でも、ほとんどかすり傷ですし……」
「それでも駄目だ。
土方さんに話してくる」
「え!ちょ、ちょっと待ってください!」
くるっと踵を返した斎藤さんを、私は慌てて引き止めた。
「斎藤さん、本当に体は大丈夫ですから。
……皆さんが戦ってるのに、私だけ寝ているなんて、出来ません」
「しかし……」
眉を下げる斎藤さん。
心配してくれてるんだっていうのは分かる。
だけど、私も新選組の一員だから。
「私も、皆さんと戦いたいんです。
お願いです、絶対に無理はしませんから」
「……分かった」
「ありがとうございます」
渋々だけど、了承してくれた斎藤さんに、私はホッと息をついた。