それって、つまり……




京の街を火の海にして、その隙に天子様を誘拐するってこと……?




「ひどい……」




そんな恐ろしい事を考えていたなんて……




「恐らく、今夜にでも会合が開かれるだろう。

 場所は、今監察が探っている。

 ……で、だな」




珍しく歯切れの悪い様子で、土方さんは私を見てきた。




どうしたんだろ、土方さん。




そう思って首を傾げていると、今度は申し訳なさそうな目で、土方さんはこっちを見た。




「恐らく、今夜は忙しくなる。

 本当なら、お前をしっかり休ませてやりてえんだが……

 情けねえことに、人手が足りてねえ。

 悪いが、お前も今夜俺達と一緒に来てくれるか」




土方さんの言葉に、私は即答した。




「もちろんです!

 見た目こんな感じですけど、全然動けますから!」




そう言うと、土方さんは困った様に笑って、もう一度私に「すまねえな」と謝った。