翌日、私は土方さんの部屋まで来ていた。
「土方さん、杏子です」
「おう、入ってくれ」
部屋に入ると、土方さんは神妙な面持ちで、私を迎えてくれた。
「悪いな、まだ傷も痛むだろうに、呼び出しちまって」
「いえ、大丈夫です」
そう言いながら、私は土方さんの前に座った。
「早速、本題に入らせてもらう。
今し方、桝屋喜右衛門……古高俊太郎が自白した」
「え!」
驚いて、私は思わず声を上げてしまった。
「それで、桝屋は何て……?」
恐る恐る聞いてみると、土方さんは眉間に皺を寄せながら、こう言った。
「風の強い日を選び、京に火を放つ。
その混乱の中で、参内途中の公武合体派、公卿・中川宮及び京都守護職・会津候、松平容保を暗殺し、帝に長州へご動座いただく」
「?!」
「それが、あいつら倒幕派の狙いだそうだ」