天狗娘は幕末剣士



「わ、私はもののけなんかじゃ……!」




「違う。

 お前の一族は、人の敵であるもののけでありながら、何よりも人に近付こうとした。

 人に憧れたもののけ、それが天狗だ。

 そして、お前も……」




刀を私達に向けた彼は、眉間に皺を寄せながら話を続けた。




「お前も己が人だと言うならば、やはり俺はお前を殺すしかない。

 もののけが人の敵であるように、人も、もののけの敵なのだからな」




「っ……」




白竜さんの言葉に、少し体を強張らせていると、私の片手を斎藤さんが優しく握ってくれた。




「言ったはずだぞ、白竜。

 俺の目の前で、簡単にこいつを殺せると思うな、と」




「斎藤さん……」




すると、白竜さんはチッと舌打ちをした。




「お前……また俺を阻むのか……」




「杏子を渡すつもりは毛頭ない。

 ここから立ち去れ」




斎藤さんがそう言うと、部屋の空気が張り詰めた。




しばらくの沈黙の後、白竜さんは静かに口を開いた。