「力が使えないのは、迷いのせいなのか……」
私の前で、斎藤さんが小さく呟いた。
「だが、情けない。
天狗ともあろう者が、命を奪うのが怖いとはな」
「……私は、もののけじゃありません。
簡単に命を奪うあなた達と一緒にしないでください」
「ならば、お前は何者だというのだ」
「私は……」
私は、斎藤さんの横に立ち、真っ直ぐに白竜さんを見つめた。
「私は、遠野杏子。
新選組の、剣士です!」
私の体は確かに天狗、もののけと変わらない。
だけど、心はもののけとは違う。
新選組の皆と同じ、人の心だ。
「……自分はあくまで人間、それも武士だというのか。
おもしろい」
そう言うと、白竜さんはスラリと刀を抜いた。
「やはり、お前には天狗の血が流れているようだ」


