「お前の母親も、天狗だったのか」
「はい」
土方さんの質問に、私はすぐに答えた。
「では、もののけは杏子くんが天狗だから、君を狙っているのか?」
「……それは少し違います」
「ならば、なぜだ?」
「杏子ちゃんが、里から逃げ出した唯一の娘だから?」
今度は総司が間髪入れずに聞いてきた。
「逃げ出したってことは、里で何かあったんだな、杏子」
質問というよりかは、確認という感じで、土方さんは私に聞いてきた。
その問いに、私はゆっくり頷いた。
「2ヶ月くらい前、もののけの集団が里に押しかけて来ました。
彼らは火を放ち、里を火の海にしました。
そして、里にいた天狗を手当たり次第に殺していきました」
なぜ、彼らがあんなことをしたのか分からない。
理由も分からないまま、私の里は滅ぼされてしまったのだ。
「私の母も、目の前で殺されました。」
「なんと……!」
近藤さんが、声を漏らす。