天狗娘は幕末剣士





「杏子?!」




フラフラになりながら屯所に帰ると、斎藤さんが出迎えてくれた。




「斎藤さん……」




足に力が入らなくなり、私はその場に座り込んでしまった。




だけど、すぐに斎藤さんがしゃがんで、私の体を支えてくれた。




「血だらけじゃないか……何があったんだ!」




「っ斎藤さん……土方さんを、読んでください……」




「何を言ってる、まずは手当てが先だろう!

 山崎くんを……」




「お願いします!土方さんを……早く……!」




懇願するような目で、私は斎藤さんを見た。




その目を見て、斎藤さんは一瞬だけたじろいたように見えた。




そこへ、バタバタと廊下を走る音が聞こえてきた。




それは複数で、足音の正体はすぐに私の前に現れた。




「一くん、どうしたの?

 ……って、杏子?!」




「血だらけではないですか。

 早く手当てを」




「平助くん……山南さん……」




ズキズキと傷口が痛んだけど、今はそんな事を言ってる場合じゃない。




すると、誰かが私の前に出てきて、目線を合わせるようにして、しゃがんだ。




「杏子」




「土方さん……」




「何があった。

 ただ単に、不逞浪士に斬られたってわけじゃ、ねぇんだろ?」




私は、コクリと頷いた。