「なに?」
土方さんが、怪訝そうな顔でそう言った。
「杏子くん、それは本当なのか?」
近藤さんが、私に静かに問う。
総司と斎藤さんはじっと私の答えを待っている。
私はギュッと強く目を瞑って答えた。
「本当、です……」
「なんと……!」
近藤さんが声を漏らす。
他の3人も、あまり顔に出していなかったけど、驚いているようだった。
「幼い時は、自分が天狗だなんて知りませんでした。
……だけど、ある時から時々布団に黒い羽が落ちていることがあって……」
初めは、どうしてだか分からなかった。
変だな、とは思っていたけど、特別気にしてはいなかったし。
「そして、試衛館でいつも通りにお手伝いをしていた時、突然、私の背中に翼が生えたんです。
……真っ黒い、大きな翼が」
あの時は、本当に驚いたなあ。
「それで、里に帰った時に母から全てを聞きました。
私は、風を自由自在に操れる能力を持ち、翼を使って空を飛べる、純血の女天狗であると」