天狗娘は幕末剣士



部屋に戻ってからも、私は何度も翼を生やそうとした。




だけど、翼が生えることはなかった。




「どうして……」




なんで突然、力が使えなくなっちゃったんだろう……




こんなこと、今まで一度もなかったのに……




私が小さくため息をついたその時……




「何をしている」




「わっ!」




突然、後ろから声を掛けられた。




驚いて振り向いてみると、いつの間にか斎藤さんが立っていた。




「さ、斎藤さん……いつからそこに……」




「少し前からだ。

 それで、何をそんなに悩んでいるんだ」




斎藤さんは、後ろ手で障子を閉めながら、部屋に入ってきた。




「いえ、大した事ではないんですけど……」




「いいから言ってみろ。

 隊務に支障が出ては困る」




そう言って、彼は私の隣に腰を下ろした。