思わず、斎藤さんの背中を見つめる。
「彼女が何者なのかなんて関係ない」
「同感だね。
杏子ちゃんは杏子ちゃんだよ。
僕の大切な友達なのに変わりない」
「総司……」
もののけは、イライラした様に舌打ちをする。
「小癪な……とにかく、俺はその娘を連れてこいと言われているんだ。
力ずくでも連れて行くぞ!!」
そう言うと、もののけは刀を振り上げ、総司達に斬りかかってきた。
だけど、彼らの方が先にもののけを斬りつけた。
「ぐわあ!」
2人に斬られたもののけは、私の前でドサッと倒れた。
私は、膝から力が抜け、その場に崩れ落ちた。
「さてと」
キンッと刀を鞘にしまった総司が、私の方に振り返った。
「薬を買いに来た他に、京に来た理由がありそうだね」
総司は私に手を差し出し、ニコッと笑った。
「もう1回、屯所で話を聞かせてくれる?」
私は、素直にコクンッと頷き、総司の手を取った。